ホーム > 107回 出題ミス

107回看護師国家試験 出題ミスの解説

*107回看護師国家試験の出題ミスについて解説を行います。
107回午前
問28
急性大動脈解離について正しいのはどれか。

1.大動脈壁の外膜が解離する。(内膜)
大動脈は、内側から内膜、中膜、外膜の3層構造となっている。
大動脈解離では、中膜に裂け目ができることで、大動脈壁の内部に新たな血流が生じる。

2.診断には造影剤を用いない CT検査を行う。(用いた)
大動脈解離では、中膜の中に流れ込んだ血流を確認するために、造影剤を用いたCT検査を行う。

3.スタンフォード分類B型では緊急手術を要する。(A型)
上行大動脈に解離が及ぶA型は、開胸による緊急手術となる。
上行大動脈に解離がないB型(解離が弓部大動脈から下行大動脈)は、内科的な治療が行われる。

4.若年者ではマルファン症候群の患者にみられることが多い。
マルファン症候群は、結合組織が弱くなる遺伝性の疾患であり、大動脈の中膜が先天的に弱い。

<出題ミス>
2.診断に造影剤を用いないCT検査を行うことは正しい。

◆CT検査

大動脈解離では、中膜の中に流れ込んだ血流を確認するために、造影剤を用いたCT検査を行う。
しかし造影剤を用いない単純CTも診断には必要であり、単純CTでは内側における石灰化による偽腔を認めることができる。
造影した後のCTでは、閉塞した偽腔内部は造影されない。


107回午前
問39
輸血後、数日から数週間経過してから出現する副作用(有害事象)はどれか。

1.溶血性反応
溶血性反応は、輸血後24時間以内に起こる。
患者が持っている抗体と輸血された赤血球の膜上の抗原が反応(AOB不適合)するために、輸血された赤血球の膜が破壊される。

2.末梢血管収縮反応
通常の輸血では、末梢血管収縮はみられない。
むしろ体液が過剰となるので、血液循環量が増える。
低温の血液を大量かつ急速に輸血すると低体温症となることがある。

3.アナフィラキシー反応
アナフィラキシー反応は、数mLの輸血で起こる。
呼吸障害、循環器障害、ショックなど全身性の反応がみられる。

4.輸血後移植片対宿主病〈PT-GVHD〉
輸血後から2~3週間して起こる。
移植されたリンパ球が移植を受けた人の細胞を攻撃することで起きる。
発熱、発疹、水様下痢、肝機能障害、感染症などの症状が出現する。

<出題ミス>
1.溶血性反応でも、数日から数週間経過してから出現することがある。

◆輸血による溶血性副作用

溶血性副作用には、輸血後24時間以内に発症する急性溶血性副作用と24時間以降に発症する遅発性溶血性副作用がある。
遅発性溶血性副作用では、最初の輸血で感作されたIgGが二度目以降の輸血による抗原の刺激で輸血後数日から数週間で上昇することで、輸血赤血球を破壊する。


107回午前
問83
嚥下運動に伴って起こるのはどれか。2つ選べ。

1.声門の開放
嚥下運動に伴って声門は閉鎖して、食塊が気道に入ることを防ぐ。

2.舌根の沈下
嚥下の際には、舌が口蓋に向かって押し上がり口腔の内圧を高めると同時に、喉頭挙上が連動する。
この時、舌根部は食塊を咽頭に送り込みやすいように下方に押し下がる。
しかしながら「舌根沈下」という表現は、医学的には意識障害による麻痺で気道が閉塞される状態を意味する。

3.甲状腺の挙上
嚥下運動に伴って喉頭挙上が起こるので、連動して甲状腺も挙上する。
甲状腺腫大では、嚥下と連動する甲状腺の動きを触診により観察しやすい。

4.後鼻孔の閉鎖
嚥下の際には、軟口蓋が上に上がることで口腔と鼻腔を遮断する。

5.耳管咽頭口の開口
耳管は、咽頭と鼓室をつなぐ管腔である。
耳管咽頭口は、常に開口しているので、嚥下に伴って開口するのではない。
通常、耳管は閉鎖しているが、これは耳管峡が閉塞しているからである。
嚥下の際には、耳管軟骨部の下壁が下方に引かれることで、耳管峡が開く。
厚生労働省の「受験者レベルでは難しすぎる」というのはこの理由である。

◆正解なしではない。
正解は、3.4.である。


107回午後
問26
味覚について正しいのはどれか。

1.基本味は5つである。
基本味は、酸味、苦味、甘味、塩味、旨味の5種である。
辛味は、味覚受容体の刺激ではなく、神経刺激による一種の痛みである。

2.外転神経が支配する。
舌の前方2/3は顔面神経、後方1/3は舌咽神経が支配する。

3.冷たい物ほど味が濃いと感じる。
冷却した状態では、一般に味覚の感度は低くなる。

4.1つの味蕾は1種類の基本味を知覚する。
1つの味蕾は複数の基本味を知覚する。

<出題ミス>
3.冷たい物ほど味が濃いと感じるものがある。

◆呈味の温度変化

果糖は、冷たい物ほど甘味が強くなるので、果実類は冷やした方が甘い。
また塩味は、冷えた状態の方が強く感じるので、塩をまぶした焼き魚は冷めると塩っぽく感じる。
しがって、冷たい物ほど味が濃いと感じるものがある。


107回午後
問22
静脈血採血の方法で正しいのはどれか。

1.駆血帯を巻いている時間は2分以内とする。(1分)
駆血帯を巻いている時間は1分以内とする。

2.針の刃面をに向けて血管内に刺入する。(上)
針の刃面を上に向けて血管内に刺入する。

3.静脈内に針を刺入したら強く内筒を引く。(ゆっくり)
静脈内に針を刺入したらゆっくりと内筒を引く。

4.針を抜いてから1分程度の圧迫止血を行う。(5分)
針を抜いてから5分程度の圧迫止血を行う。

<出題ミス>
全ての設問が誤っているので、正解なし。


107回午後
問24
静脈血採血の方法で正しいのはどれか。

1.乾燥
褥瘡の皮膚が乾燥しているかどうかと問われると、褥瘡の初期に発赤がみられた状態では、まだ皮膚表面は乾燥している。
*もし乾燥肌(ドライスキン)と出題されていたのであれば明確な誤りとなる。

2.水泡
水泡は、褥瘡のステージⅡでは認められるので、問題文を「褥瘡のNPUAP分類によるステージⅡの皮膚症状はどれか」とすれば正解であった。

3.白斑
白斑は、皮膚の色素細胞が減少・消失した状態である。

4.発疹
発疹とは、皮膚に現れる吹き出物や水泡などの総称であり、かゆみを伴うことがある。
*褥瘡の皮膚症状を「発疹」と診断する医師はいないはずであるが、水泡は広い意味で発疹に含まれると主張されると反論には苦労する。

<出題ミス>
正解は2.水泡であるが、1.乾燥または4.発疹も正解となり得る。


107回午後
問114
パーキンソン病のAさんは「病気になる前は夫と近くの公園を毎日散歩していたけれど、最近は通院以外に外出をしていません。以前のように、夫と近くの公園を散歩したいな」と訪問看護師に話した。
Aさんへの提案で最も適切なのはどれか。

1.歩行器の利用
歩行が不安定であるパーキンソン病では、従来の押し車タイプの歩行器では、下り坂などで歩行器に追いつけずに転倒の危険があった。
しかし抑速ブレーキ付きの歩行器であれば、下り坂でも使用可能である。

2.電動車椅子の利用
電動車椅子は、生命に関わる重大事故を発生する恐れがある。
パーキンソン病の場合には、とっさの場合の行動が遅れるので、主治医の意見書が求められる。

3.住宅内の段差の改修
住宅内の改修は、散歩とは関係しない。

4.自宅でのリハビリテーションの実施
リハビリテーションが歩行に自信をつけるためのものであり、散歩の安全性を確保するような訓練であれば正解となる。
問題文では、外出をしていない理由が夫婦間の問題なのか本人の機能的な問題なのかを記載していない。 もしも夫の歩行速度についていけないという理由であれば、歩行器も正解となる。

<出題ミス>
正解は4.自宅でのリハビリテーションの実施であるが、1.歩行器の利用も正解となり得る。

PAGE TOP